私は、オーストラリアに移住して10数年になります。

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はじめは、大学で事務関係の仕事をしていたのですが、そこで知り合う先生方の影響か、いつしか『教える』ことに興味を持ち、資格を取得して、オーストラリアで日本語教師を目指すようになりました。

さて、ある某日本語学校での出来事です。
私は当時、資格を持っているだけの新人日本語教師でしたので当然フルタイムのポジションは望めませんでした。

しかし、研修中もクラスを担当できる特典が嬉しくて、交通費全自己負担、低賃金、1日1〜3時間、週三回のカジュアルワークであることを全て承諾。
毎日教案を書いて、そのダメだしの訂正に追われる日々を送っていました。

その時はそれでよかったんです。
なぜなら、日本語学習者の前で日本語を教えることは日頃の苦労も吹っ飛ぶようなやりがいと喜びがありましたから。

日々、学習者からもらう温かいレビューや一生懸命勉強する姿から元気をもらい私は与えられたクラスに、全力で臨んでいました。
ところが、学習者との信頼関係がうまくいけばいくほど経営者、つまり校長との関係がギクシャクするようになったのです。

私が働いていた某日本語学校は、女校長が日本語の教授から経営までを一人でされていて、朝9時から夜9時まで月曜から土曜まで開校していましたから、それは大変であることには違いありません。

私も何かお手伝いができればと、彼女のアシスタントを申し出たのですが、どうやら彼女は、自分で全てを把握していないと心配でならない、つまり、人に任せることを嫌がる人だったんですね。

それならばと、学習者が今後も日本語を継続してくれるよう自分の持ち場であるクラスの充実と学習者の満足度を上げるべく楽しいクラスを行っていたのですが・・・。

笑い声がわくと「クラスがうるさい。」「遊んでばっかり。」だの、壁越しに私のクラスを聞いていて、「今日は、この項目を教えていない。」だのと、嫉妬にも近い感情をぶつけてくるようになったのです。

私としては、「校長のクラスだって、笑いが起こって楽しそうだし、クラスでその日にできなかった項目があれば次回で導入するなど、教師は臨機応変に対応できるはず。」と思っていたので、はじめは彼女の理不尽な態度に戸惑っていましたが「どうやらこの校長は自分が一番でないと気がすまない人なんだ。」とわかってからは吹っ切れました。

この器ですから、なるほど教師の入れ替わりが激しく、また長くいる教師たちはびっくりするぐらい彼女に性格が似ているんです!

「私が校長なら学校の存続のためにも人気教師は新人であろうと大歓迎なのになぁ。」「残念な人だなぁ。」と思いながらも、新しい職場が決まったのを機にそこは退職しました。「こんな校長には、くれぐれも気をつけて!」って思いましたね。